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【歴史小説】暁の鐘の音(最終回)  本郷新二

【歴史小説】暁の鐘の音(最終回)  本郷新二

暁の鐘の音(最終回)           本郷新二 六 「世が平穏ならば、あるいは、これほど悩むこともないかも知れぬ…」 と、惣右衛門は深いため息をついた。 書架のとなりで、燭台の灯が揺れている。 倅の与六を若殿喜平次の […]

【歴史小説】暁の鐘の音(第五回)  本郷新二

【歴史小説】暁の鐘の音(第五回)  本郷新二

暁の鐘の音(第五回)        本郷新二 五 次の日の午後—。 激しい雨が打ち寄せる荒波のように周期的に軒を叩きつづけている。未明から降り始めた雨が、急に強くなっていた。 惣右衛門が雪見障子をすこしあけてみると、軒か […]

【歴史小説】暁の鐘の音(第四回)  本郷新二

【歴史小説】暁の鐘の音(第四回)  本郷新二

暁の鐘の音(第四回)             本 郷 新 二 四 数日が経った。 六月の半ばを過ぎると、上田庄の民は一段落する。田植えも終わり、田の草も、まだそれほど伸びていない。一年のうちで、一番手のかからない時期だ。 […]

【歴史小説】暁の鐘の音(第三回)  本郷新二

【歴史小説】暁の鐘の音(第三回)  本郷新二

暁の鐘の音(第三回)              本 郷 新 二 三 翌日—。 惣右衛門は非番であった。 上田庄では、武士といえども自ら田畑を耕す、いわゆる半農半士である。惣右衛門は、一日、おいとと一緒に田の草取りに精を出 […]

【歴史小説】暁の鐘の音(第二回)  本郷 新二

【歴史小説】暁の鐘の音(第二回)  本郷 新二

暁の鐘の音(第二回) 二 「おかえりなさいませ」 城内で一日の記録をすませ、帰宅した惣右衛門を、妻のおいとが出迎えた。 「のちほど、お伝えすることが」 「うむ」 いつもに増して疲れを覚えていた惣右衛門は、そのまま湯浴みに […]

【歴史小説】暁の鐘の音(第一回)  本郷 新二

【歴史小説】暁の鐘の音(第一回)  本郷 新二

暁の鐘の音(第一回) 一 永禄十一(一五六八)年、初夏—。 越後国上田庄—。 曹洞宗の古刹雲洞庵から坂戸城下のわが家に向かう道すがら、樋口惣右衛門兼豊の胸中はおだやかでなかった。 通天存達和尚の言葉が、繰り返し響いている […]

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