母もの映画「明け行く空」のあらすじ

2013年11月03日 蒲田脚本部

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<銀行を経営する家に嫁いだ恭子は若くして夫に先立たれ、義父純造の意向で、生まれたばかりの玲子を置いて家を出されてしまう。やがて銀行は破綻し、湖畔の村で乗合馬車の御者となった純造は、孫娘玲子と2人で平和に暮らしていた。玲子は可憐な少女に成長していた。 村の教会に婦人の牧師がやってくる。両親のない玲子は、母を求める気持ちで教会を訪れる。女牧師は、教会に遊びに来る少女は玲子という名で親のないことを知って驚き、懐かしさに胸がいっぱいになる。この女牧師こそ、玲子の生みの母恭子であった。 しかし、今は神に仕える身の恭子は、自分が母であると打ち明けることもできない。ある日恭子を見かけた純造も、玲子に真実を教えない。しかし玲子は、写真で見た母に似ており、優しく接してくれる恭子を心から慕ってゆく。純造は、愛おしい孫娘を不憫に思い、ついに恭子が実の母であることを告げる。その頃、深く思い悩み、神に祈った恭子は、村を出てゆく決心をしていた……>
(参考;「キネマ旬報」昭和4年4月21日号、「日本映画紹介」ほか)

母もの映画の魅力について、現・日本映画大学学長で映画評論家の佐藤忠男先生が、著書「日本映画史Ⅰ」(筑摩書房)の中で明解に解説してくださっている(p241~「3 蒲田の“母もの”」)。「女性にとって耐え難い苦痛である…立場におかれて、…“母”たちがどこまでその苦痛に耐え、さらには苦痛を乗り越えて母としての満足に到達するかを見るのが観客の喜びであった」と。「明け行く空」の展開とラストシーンも、それを踏襲している。

2013.11.3

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