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「いとしの我子」のストーリー

「母よ恋し」の姉妹作として製作された「いとしの我子」。この作品も、6巻の「母もの」であった。公開されたのは大正15年9月21日、浅草電気館であった。「蒲田週報」大正15年8月1日号の紹介記事で、あらすじを確認しておく。

「小間使お貞は主人工藤弘文が青春の血に燃えていた頃彼の為に文子という子供を生み我が子の幸福の為に母なる名を捨て淋しい漁村に文子と共に暮らしていた。

数年の後文子は父弘文に呼ばれ源太郎に連れられて憧れの父母の住む都に行った。お貞は村の巡査が再婚をすすめるのも顧みずただ我が子のことばかり思い暮らしていた。都へ来てからの文子は期待したような楽しさはなく常に工藤夫人に虐められていた。文子は子供心にも決心して遂に懐かしいお貞の許へ帰った。

お貞は喜んだが東京のお邸にいることが文子の幸福だと信じ帰邸を勧めた。お貞は食事の用意を始めた時文子の姿が見えないので海岸へ出てみると文子が岩の上に立っているので驚き急ぎ駆けつけ『アッ』という間に身を踊らした文子の跡を追うて自分も身を投じた。

お貞は漸々気がついてみると文子は弘文に抱かれているので狂はんばかりに喜び自分が間違っていた事を悟り『私は貴方の母です、決して放しません、二人でくらしませう』と文子を抱きしめた。」

監督した五所平之助は、「いわゆる母ものにしないで当時としては新しい心理描写的なものをやったつもり」と語ったことは紹介した。「母よ恋し」同様、ぜひフィルムで確認してみた作品である。

2014/12/02
no.189