空の彼方へ

1928年 映画脚本・原作

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原作:吉屋信子
脚本:水島あやめ
監督:蔦見丈夫
撮影:長井信一
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
大庭初子 川田芳子
次妹仲子 柳さく子
末妹末子(盲目) 高尾光子
母静枝 鈴木歌子
伊沢達平(豪商)  河原侃三
次男豊(銀行員) 土方勝三郎
三男茂(大学生) 結城一朗
植木屋源吉 野寺正一
睦代助 岡田宗太郎

ジャンル:文芸もの、サイレント、7巻
封切日:昭和3年7月7日
封切館:浅草電気館

【あらすじ】
父大庭育蔵の死後、残された多額の借金を抱え、父と同郷の豪商伊沢達平に引き取られた四人の遺族、母静枝、長女初子、次女仲子、三女末子。静枝は、夫人を失った伊沢家の奥向きを取締り、初子は小学校の教師、仲子は丸の内睦商会の事務員、生まれつき盲目の末子はバイオリンを習いながら平和にその日を送っていた。伊沢家にも三人の息子がおり、長男は結婚して独立、次男は下関正金銀行に勤め、某私立大学生の三男茂が家にいた。茂と初子はいつしか恋仲になった。虚栄心の強い仲子は、商会の支配人睦代助の妾の様な生活をするようになる。茂は一時の衝動から初子に言い寄り、それを初子が拒んだことから、二人の間に深い溝ができる。茂は家を出て放浪先の下関で仲子と巡り合い、傷ついた二人はやがて結婚を意識するようになる。初子は妹の幸福を思って身を引き、達平から結婚を許されない茂と仲子は朝鮮へと駆け落ちする。静枝母娘は恩を仇で返す者として、伊沢家を追われ、貧困と戦う中で静枝は死んでしまう。哀れな姉妹に同情して慰めるのは植木屋の源吉だけだった。やがて大正十二年九月一日、大地震が起こる。この大震災によって、姉妹の運命が如何なることに…。

【解説】
「主婦の友」に連載(昭和2年5月~同3年4月)された吉屋信子の長編「空の彼方へ」が原作。「地の果てまで」「海の極みまで」とともに、吉屋の長編三部作の一作。当時、映画各社は競って文芸作品を製作していた。「蒲田週報」によれば、城戸所長が巨費を投じ、大阪、下関、さらには大陸の大連まで出かけてロケを刊行したという。川田芳子と柳さく子の久しぶりの共演。
(20201002)

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