神への道

1928年 映画脚本・原作

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原作:水島あやめ
脚本:水島あやめ
監督:五所平之助
撮影:野村昊
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
辻小夜子 高尾光子
父啓介 河原侃三
松本多美子 水城邦子
母敏子 林千歳
富田夫人 吉川満子
北川哲也 結城一朗
村山英夫 土方勝三郎
人買源六 押本映治
その女房 岡村文子
人買お徳 二葉かほる
山猫の政 石山龍嗣
源六の子分三太 吉谷久雄
下宿の亭主仙吉 酒井啓之助
その女房 花柳都

ジャンル:少女もの、サイレント、8巻
封切日:昭和3年6月8日
封切館:浅草電気館

【あらすじ】
盲目の少女辻小夜子の父は信望篤い敬虔な牧師だったが、重い病気を患い死んでしまう。孤児となり、下宿の主人によって人買に売られた小夜子は、乞食となって物乞いの日々を送らねばならなくなった。マンドリンを弾きながら歌う路傍の小夜子に、富豪の令嬢松本多美子が心惹かれ多額のお金を恵んでいく。
多美子には哲也という恋人がいた。しかし哲也の友人で子爵家の次男英夫が、多美子との結婚を望んでいた。そんな中、人買一味が小夜子を利用して多美子を誘拐する。小夜子は恩ある多美子を助けようと、戸外にいざり出る。折よく哲也と出逢い、いきさつを知らせると、徹夜は自動車に飛び乗り、隠れ家に駆けつける。人買らと格闘するうちに、源六の投げたナイフが小夜子に当たってしまう…。少女が信じる神は、如何なる救いの手を差し伸べるか?

【解説】
原作脚本を書いた水島あやめは、「人は、たとえ如何なる苦痛困難にあおうとも、常に正しき信念を失わずに、身を処して行ったならば、遂には必ず明るい救いがある―此の気持ちを、理屈でなく、ごく平易に、しかも興味本位の物語の中に盛り込もうとしたのが今度の『神への道』です」と書き残している(「電気館ニュース」No75、昭和三年六月八日発行)。少女のころから「小公女」や「家なき娘」などの海外名作を愛読し、少女小説作家になりたいと思っていた水島の想いが映画になったと言えよう。
監督した五所は、実弟が障害を持っていたこともあり、そうした少年少女に特別の想いがあったようであり、類似の作品を数作撮っている。
(20201002)

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