監督と脚本家の達成感

2014年02月11日 蒲田脚本部

水島映画「天使の罪」の試写会―。見る者の心を打つ子役・高尾光子の演技は、ラストに至って最高潮になる。城戸所長の「オッケーッ」が出て公開が決まる。製作にかかわったスタッフたちの緊張感が大きな達成感にと変わる。その時の気持ちを、水島は書き残している。

「ラスト近いシーンが一番よかった。このシーン一つで、全体の気分がグッと気持ちよくなった感じがした。
「や、ありがとう。」
「御苦労さま。」
製作者側と、お客様側と、終わるや否やすぐ元気な挨拶を取り交わす。
外へ出ると、一足先に大久保監督が出て待っていて、出てくる皆にお辞儀をしている。
「どう?」私を見るとすぐ声をかける。
「結構でしたわ。それにあのラストがよいのね。あすこが一番気に入っちゃった。」
と云うと、
「ああ。僕もあすこが好き、キャメラがとてもいいしね。」
とニコニコする。
一作終わったあとの製作者の嬉しさ。それはとても、その身になってみなければ分からない嬉しさだ。殊にそれが好評だった時など、作者や監督は、寄り合うたびに喜び合い、祝い合う。
実に涙ぐましい気分のものである。」
(「家庭週報」917号、昭和3年1月1日発行)

キャメラ担当は杉本正次郎。この時期、大久保の監督作品で数多くキャメラを回していた。そしてこの時、水島あやめは24歳、監督の大久保忠素は33歳、二人がコンビの撮られた映画は6作で、昭和2年から翌3年に集中している。息の合ったコンビであった。

2014/02/11

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