ジョン・フォード監督のサイレント映画「三悪人」を観に行く

2019年08月08日 近況

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去る7月30日(火)、新宿シネマートライブで、佐々木亜希子氏の活弁、永田雅代氏の音楽による米・FOX製作「三悪人」を観てきた。
のちに「西部劇の神様」と呼ばれる名監督ジョン・フォードのサイレント作品で、原作はハーマン・ホイテッカー、脚本はジョン・ストーン。
9巻(約90分)。製作されたのは1926(大正15)年だが、日本では翌1927(昭和2)年1月に、目黒キネマ、帝国館で公開された。

アメリカ北部・ダコタの土地開放時代を舞台にした西部劇で、お尋ね者の3人の悪漢を中心に、広大で圧倒的な西部で意外な人情劇が繰り広げられる。
この人情の機微は日本人の好きな世界だ。
はるかかなたの地平線まで並んだ幌馬車が一斉に開拓地を目指すスペクタクルは圧巻だった。
ジョン・フォードの卓越した監督手腕は言わずもがな、原作と脚本の素晴らしさも十分満喫できた。
七色の声を持つ佐々木亜希子氏の活弁と、シーンにマッチした永田雅代氏の音楽で、90分間は瞬く間に過ぎた。
大正末期には、きっと弁士によって熱っぽく語られ、映画館に詰めかけた観客(見物人)の目は、驚きと高揚感で輝き、目にほろりと涙がこぼれたにちがいない。

ところで大正15年というと、水島あやめが松竹蒲田撮影所脚本部に正式に入社した年で、蒲田での最初の作品「お坊ちゃん」(原作)が5月に公開。
つづいて昭和2年1月までに、「母よ恋し」(原作脚本、5月)、「いとしの我子」(原作脚本、9月)、「曲馬団の少女」(原作脚本、11月)、「愚かな母」(原作脚本、12月)、「恋愛混戦」(原作脚本、翌2年1月)が公開されていた。
水島は、脚本の勉強は自分の映画だけでなく多くの映画を観ることだといっているから、きっと、この「三悪人」も観たことだろう。

次回8月26日(月)と28日(水)は、メアリー・ピックフォード主演映画「雀」とのこと。
この作品も1926(大正15)年製作のサイレントで、ぜひ観に行こうと思っている。

2019/8/8

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