純情

1930年 映画脚本・原作

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原作:水島あやめ
脚本:水島あやめ
監督:成瀬巳喜男
撮影:杉本正
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
おつた 高尾光子
啓一 小藤田正一
おつたの父 武田春郎
同母 高松栄子
お花 月岡初子

ジャンル:教育劇、サイレント、5巻
封切日:昭和5年2月14日
封切館:浅草帝国館

【あらすじ】
おつたは、大自然のなか、老いた両親の深い愛情にはぐくまれた心優しい少女。彼女には啓一という弟がいた。啓一は秀才で、教師たちは中学に進むことを切望していた。しかし、家が貧しいことを知っている啓一は、それを言い出せずにいる。そんな弟を見て、おつたは自分が苦労してでも啓一を中学校に進学させてあげたいと思うのだった。
ある日、東京に奉公に行っていたお蔦の幼馴染お花が里帰りする。都会風に綺麗になったお花から、
東京の素晴らしさを聞いたおつたは、弟の学費を稼ぐために、自分も東京に出ようと決意する。しかし、母はけっして許してくれなかった。よくよく考えたおつたは、意を決して、お花とともに東京へ行くことにする。「やっぱり姉ちゃんは東京へ奉公に行きます。達者で勉強して姉ちゃんの分まで偉くなってください」というおつたの置手紙を見つけた啓一は、朝靄をついて渡し場に駆けつける。そして、「姉ちゃん、きっときっと偉くなるよ」と泣きながら叫ぶのだった。

【解説】
「蒲田週報」は、「一種の教訓劇。蒲田子役の両天才の共演、定評ある原作者の力作、そのコンビネーションはすでに充分の期待を持つ事が出来る」(昭和五年二月二日号)。また、「キネマ旬報」も同様に「教育映画の部類に属す」ものではあるが、修身教科書は簡潔な構成を以て纏め上げるべきで、その点ではテンポがだるいと批評している(三月十一日号)。
成瀬巳喜男の「チャンバラ夫婦」につぐ監督二作目の作品。
(20201006)

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