孤児

1927年 映画脚本・原作

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原作:水島あやめ
脚本:水島あやめ
監督:大久保忠素
撮影:杉本正次郎
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
北川貴美子 高尾光子
母政子 飯田蝶子
父藤木敬三 奈良真養
須川敏子 小桜葉子
母八重子 吉川満子
父信三 木村健□
田舎の少年 小藤田正一

ジャンル:少女もの、サイレント、7巻
封切日:昭和2年9月30日
封切館:浅草電気館

【あらすじ】
貴美子は、長い間病気で寝たきりの母政子のために、子守をして薬代に当てていた。昔の写真に写っている父に会いたいと思うが、「お父さんは死んでしまった」と母は言う。しかし、それは嘘で、母は東京で貴美子の父に捨てられたのだと知る。問いただす貴美子に、母は真実を告白するが、二人を捨てた藤木敬三にはけっして会ってはならぬと言い聞かせる。やがて病が重くなった母は帰らぬ人となる。
貴美子は、東京に住む母の女学校時代の友達を訪ねていくが、すでに外国に行ってしまっていた。貴美子は落胆して歩くうちに車にはねられてしまう。気が付くと須川男爵家に看護されていた。そして元気になった貴美子は、令嬢敏子とともに学校に通うようになる。そんなある日、学校から帰る道すがら、貴美子はみすぼらしい男と出逢う。それは、かつて母政子と貴美子を捨てた藤木敬三だった。そして敬三が、須川家を訪ねてくる…

【解説】
評論家の北川冬彦は、「大久保忠素氏の作品のなかでは、氏のものとして優れたものの一つであろう。母と母を裏切った父との間に立って想い悩む少女を主題として描いているのであるが、少女の心理描写は成功したものと考えよう」と評価。特に高尾光子の演技は、「子役俳優中第一人者たるの名を恥かしめないものである」といい、「キネマ旬報」編集者は、「日本人一般観衆の好きな題材だ。大いにうけるべし」と興行価値を認めている。
監督大久保忠素、脚本水島あやめ、主役高尾光子の頭文字をとって、「オミタ・トリオ」として人気を博した第一作。
(20200929)

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